2022年1月1日土曜日

2021年の読書メーター

2021年の読書メーター
読んだ本の数:78
読んだページ数:20733
ナイス数:1261

ママ、死にたいなら死んでもいいよ (娘のひと言から私の新しい人生が始まった)ママ、死にたいなら死んでもいいよ (娘のひと言から私の新しい人生が始まった)感想
先に娘さんの本から読んでいたので、エピソードとしてはわかっていたけれど、自分ではどうしようもない運命を受け入れ、生きようと前向きになれる力は、タイトル通り、娘の一言から始まった言葉の力~それは娘から家族につながる愛情に裏打ちされたもの~となって、著者の新しい人生が始まった、ということになるのだろう。簡潔な文章ながら、その背後の情がストレートに伝わって、久しぶりに読書で泣けてしまった。そして自分も何かしなければという、力ももらった。
読了日:12月31日 著者:岸田ひろ実
世界史講師が語る 教科書が教えてくれない 「保守」って何? (単行本)世界史講師が語る 教科書が教えてくれない 「保守」って何? (単行本)感想
こういう先生から世界史、そして日本近代史を教わったらもっと社会を良くしていこう、という若者が増えるのではないかと思う。自分が中学生(70年代後半)のころ、北朝鮮を「朝鮮民主主義人民共和国」という正式名称を強調して、これこそ「民主主義」国家なんだ、と教えてくれた社会の先生がいた。田舎の学校だったけど、そうやって民主主義というものを刷り込まれていたんだ、ということがはっきり自覚したのは90年代になってからかもしれない。渡辺昇一を愛読していたにもかかわらず。そのくらい教師の思想や歴史観って影響が大きいなと思う。
読了日:12月30日 著者:茂木 誠
数学する人生 (新潮文庫)数学する人生 (新潮文庫)感想
数学者としての岡潔から、情緒を生きた人としての岡潔の姿に触れることができました。本書解説でも触れられていますが、芭蕉や漱石、仏教思想に言及している文章を読みながらどうしても「わかる」「わからない」という知的な思考が働いてしまうけれど、その心の奥底に、岡に言わせれば「すみれの花はいいなあ」という感じがするのが「情緒」なのだということかもしれない。数学者でもあるけれど、その情緒を求め続け、解き続けた岡の著作や講演が残っているのは幸いなことで、本書を皮切りに春宵十話に入っていこうかなと思う。
読了日:12月26日 著者:岡 潔
2000年前からローマの哲人は知っていた 自由を手に入れる方法2000年前からローマの哲人は知っていた 自由を手に入れる方法感想
人を動かす(カーネギー)、アドラー心理学、いずれも西欧(キリスト教)文明圏上での人生哲学と受け止めていたし、エピクテトスもヒルティの幸福論でずっと読んできたので、その文脈で読んできたことに気がついた。今回、岩波文庫でのエピクテトス「人生談話」(上下)を購入したので、本文を読む前に、と手にしたのが本書。エピクテトスの語る内容は文明とか時代を超えた人間本性について普遍性がある。神を語ることはないが、人間の本質をとらえた内容が、修道院で読み継がれてきたということは、人間の中の神性というものを実証する。
読了日:12月22日 著者:エピクテトス
どくとるマンボウ航海記 (新潮文庫)どくとるマンボウ航海記 (新潮文庫)感想
40年以上前、中学生の時に読んだどくとるマンボウ昆虫記が面白くて、航海記、青年期、楡家の人々・・・すっかり北杜夫のファンになっていた。新潮文庫の本書もおそらく中学から高校の時期に買って読んだものだった。読み進めていくと驚くほど懐かしい思い出がよみがえる。何度読んだのだろう、ユーモアのある文章に影響されて当時の作文がずいぶん北杜夫風になっていたことを思い出した。
読了日:12月18日 著者:北 杜夫
新型コロナ騒動の正しい終わらせ方新型コロナ騒動の正しい終わらせ方感想
新型コロナの知見がもう二年近く積み上げられている今、冷静に見つめていくことが必要で、今までの対応について正すことは指摘する方もされる方も同じ健康でいたいヒトであり、感染症そのものが問題でなく、感染症に対する見つめ方(価値観)であると思う。もともと騒ぎすぎだと思っていたが、生命にかかわる話が何よりも優先させる、といって実は一方的な価値観を押し付けてしまう人間の性を見つめていくことが大切なのかもしれない。ワクチンに関する知見は必見でした。
読了日:12月18日 著者:井上 正康,松田 学
家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった感想
お母さんの話を先に聞いて、本を読みたかったけれど、娘である著者の本が先に買えたので読んでみた。100文字で済むことを2000文字で伝える作家。でも全然無駄なく、楽しく、家族に対する愛情が伝わってくる。ちょうど並行して読んでいる「どくとるマンボウ航海記」のユーモア表現が現代的になったらこんなのかな、と思わせる。たんに「前向きに生きる」という表現だけでは伝わらない、愛し、愛される家族の姿が、自分もそう生きてみたいという思いにさせる。
読了日:12月13日 著者:岸田 奈美
禁じられた西郷隆盛の「顔」 写真から消された維新最大の功労者: 写真から消された維新最大の功労者 (二見文庫)禁じられた西郷隆盛の「顔」 写真から消された維新最大の功労者: 写真から消された維新最大の功労者 (二見文庫)感想
加治将一の一連の書籍を読んでいたので、この本はその先を行くものかな、と思って読み始めた。結論は、未だ写真の存在は不明ということか。反政府の頭目のシンボルとして西郷隆盛の写真は、本人が写真嫌いという以上に、明治政府に意図的に消されてしまった、ということになるのかな、と思った。フルベッキ写真と、天皇行幸時の写真の人物写真が同一と鑑定されてしまったことも、その人物が西郷かどうかわからないけれど、新しい謎ができてしまったということになる。
読了日:12月06日 著者:斎藤 充功
お前の親になったる 被害者と加害者のドキュメント (ShoPro Books)お前の親になったる 被害者と加害者のドキュメント (ShoPro Books)感想
今月のあと1冊、と読み始めた本。通勤電車の中で涙し、帰宅して読みながら、たぶん今年一番涙が出た本。そして一日で読み終えてしまった。簡潔、率直な文だけに、その背後にある深い思いが伝わり、なにかしらその背後にある、特に妹さんに対する、家族に対する深い愛が、感動を呼ぶ。それだけでなく、自分も何かしなければいけないと、感じさせてくれるもの、生きていることの意味を問うというところまで連れて行ってくれた内容でした。現在進行形である著者の歩みを一緒に応援したくなりました。
読了日:11月30日 著者:草刈 健太郎
ゴーマニズム宣言SPECIAL コロナ論4 ワクチンの「嘘」とファシズム化する日本ゴーマニズム宣言SPECIAL コロナ論4 ワクチンの「嘘」とファシズム化する日本感想
井上先生との対談本をすでに読んでいたけど、本書ではそれだけでなく、ほぼ1年半続くコロナ禍を総合的に理解できる。自分もほとんどYoutubeで情報を取ってきたので、耳新しいものは少なかったけど、テレビで繰り返し刷り込まれる情報で、なにがなんだかわからないうちに、不安感、同調圧力を他者の善意と読み替えてしまって生活していたのだろうと思う。それ自体が免疫力に影響するんでは、と思ってしまう。
読了日:11月29日 著者:小林よしのり
世界史を動かした 思想家たちの格闘 ソクラテスからニーチェまで(祥伝社黄金文庫)世界史を動かした 思想家たちの格闘 ソクラテスからニーチェまで(祥伝社黄金文庫)感想
第3,4講が印象的。なぜ哲学者はタイトルにあるように「格闘」しなければならないのか。特に18世紀~19世紀の哲学者たちは悲劇的な個人体験が色濃く反映して、あまりにもその思想は破壊的、破滅的な印象が強い。まるで青年期に味わう人生に対する苦悩そのものであり、それゆえに多くの若者が共鳴するのだろう。しかし、多くの人たち、特に親となった人たちはたちはその暗さ、悲劇性ゆえに、子供たちには学ばせたくないものであるには違いない。聖書にある天国は幼子のものである、という山上の垂訓はいまだ有効だ。
読了日:11月27日 著者:茂木誠
中国が仕掛ける「シン・共産主義革命」工作中国が仕掛ける「シン・共産主義革命」工作
読了日:11月15日 著者:篠原 常一郎
奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業 ――この生きづらい世の中で「よく生きる」ために奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業 ――この生きづらい世の中で「よく生きる」ために感想
「提要」の一節ごとに解説文と漫画がついて、エピクテトス入門としてはとっつきやすい。ずっとヒルティの幸福論Ⅰで読んできていたので、こちらの文章は深くうなずきながらも少し物足りないところもあるかも。 ますますアドラー心理学と通底するところを確信しているのだが、だれかその点を取り上げている人はいなのかな? それとも、それは当たり前のことで、改めて取り上げることもないのかもしれない。
読了日:11月06日 著者:荻野 弘之,かおり&ゆかり
素晴らしき哉、フランク・キャプラ (集英社新書)素晴らしき哉、フランク・キャプラ (集英社新書)感想
「素晴らしき哉、人生!」を友人の勧めで初めて見たのが30年以上前。米国クリスマスの定番映画ということと、「ホームアローン2」で出てきたところで、本当にポピュラーな映画、自分のキャプラ観はそこまでだったけど、本書を読んで、ぜひ一連の、とくに「スミス都に行く」を見てみたいとおもった。20世紀の時代とは無縁ではいられなかった映画監督だけれど、その信念やプロフェッショナルな意識はもっと評価され、見直されるべきものかなと思った。
読了日:11月04日 著者:井上 篤夫
免疫力を強くする 最新科学が語るワクチンと免疫のしくみ (ブルーバックス)免疫力を強くする 最新科学が語るワクチンと免疫のしくみ (ブルーバックス)感想
免疫学はあまりに奥深く、というよりまだほとんどわかっていなのではないか(宮坂先生には失礼ながら)ということなんだと思った。といって諦めるのではなく、本書の結論として有効なワクチンを活用しながら、よく眠り、よく食べ、100%治るとか予防できるといった情報にまどわされることなく、健全な社会生活を営むことが人間として「生きている」ということなんだと思った。新型コロナ以前に書かれた内容だけに、感染者数に一喜一憂し、ロックダウンとか、ワクチンの危険性を強調することとか、それ自体免疫力が低下するんではないかな。
読了日:10月30日 著者:宮坂 昌之
検閲官~発見されたGHQ名簿 (新潮新書)検閲官~発見されたGHQ名簿 (新潮新書)感想
GHQの占領政策で、決して表立っては語られない、しかし日本を再び戦争させないために(つまり、米国の属国として)実施された検閲政策は、若い語学能力のある、優秀な日本人を大量に巻き込んだ。その人々は困窮した生活ゆえに、厚遇される環境のなかで、かつての敵への協力(つまり日本に対する裏切り)のなかで、日本人としてのアイデンティティはどうしてもふらついてしまう。木下順二が検閲官であったことは、決して本人は語らない。自分でもそうなってしまうだろう。国家というものの裏の本質を見たように思う。
読了日:10月20日 著者:山本 武利
理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性 (講談社現代新書)理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性 (講談社現代新書)感想
様々な観点で対話形式で追及される理性の限界。最後にゲーデルの不完全性定理についての記述のように、一見完全に見える数学の世界の論理でさえ、不完全性があるということ。そしてその不完全性を認識できるからこそ、人間存在の本質は人間自身の理性で規定、把握できるものではなく、無限の可能性を秘めたものなのだと、いうことが結論でしょうか。 人生の価値を問う、ということは人間の本質、無限性、永遠性を明らかにしていく試みなのかと。
読了日:10月14日 著者:高橋 昌一郎
YMO1978-2043YMO1978-2043感想
散会後のYMOの活動は断片的にしか知らなかったし、Youtubeでかなり追っかけられるようになったけど、やはり自分の中学~高校生時代にコンピューターへの興味とともにYMOのサウンドにのめりこめたのは、その後の音楽への嗜好を決定的に決める、自分の音楽とのかかわりの原点でもある。その記録が詳細にまとめられて、現代まで続くこの記録はとても貴重であり、自分の人生と重なってもくる内容でした。4000円の価値は十分にありました。
読了日:10月06日 著者:吉村 栄一
コロナとワクチンの全貌 (小学館新書 こ 3-4)コロナとワクチンの全貌 (小学館新書 こ 3-4)感想
Youtubeではワクチンについての間違った内容を流布する動画は削除となることがつい最近公表された。だけど、だれが「間違っている」を判断できるのか。いわゆる「専門家」たる一部の医師、科学者ですら互いの主張が異なるのに、「これは害悪である」と判断して公開できないとは、言論弾圧であり、一番の被害者はその受益者たる国民、視聴者となる。井上先生が主張されていることは、掛値なしに日本国民のためになることである。あとがきは必読部分。
読了日:10月06日 著者:小林 よしのり,井上 正康
アドラー心理学×幸福学でつかむ! 幸せに生きる方法 (ワニプラス)アドラー心理学×幸福学でつかむ! 幸せに生きる方法 (ワニプラス)感想
アドラーの理解はそれなりにしていたつもりだったが、現実の子育て、人間関係、仕事の上でも、こういう風に応用していくんだと、発見、気づきがありました。 「いい話」は、つい相手に適用してしまいがち。実は自分と相手が一つになって取り組まなければいけないのだと。それは案外気が付いてないだけで、わかってしまうと、極めて自然なことだということがわかるような気がする。単なる読書にとどまらず、共に生きる人と一緒に実践することが肝要なんだろう。何度か読み直す予定。
読了日:10月05日 著者:平本 あきお,前野 隆司
緒方竹虎と日本のインテリジェンス (PHP新書)緒方竹虎と日本のインテリジェンス (PHP新書)感想
名前は知っていたけれど、自民党創設の立役者で、吉田茂とならび称されるような政治家だとはつゆしらず。玄洋社は戦前右翼団体で、広田弘毅が関わっていたくらいのイメージしかなかったが、中野正剛などの関係などをみると、戦後の徹底した左翼平和教育が抹殺、あるいは無視してきたせいかなと思う。日本のインテリジェンスはまだまだ未熟。西洋の基準からみれば「お人好し」にしか見えない日本を緒方も悔しく思っているだろう。
読了日:10月05日 著者:江崎 道朗
私とは何か――「個人」から「分人」へ (講談社現代新書)私とは何か――「個人」から「分人」へ (講談社現代新書)感想
著者の小説で展開されている「分人」(「個人」の対概念?)を整理して解説している。小説家らしい文章は読みやすい。ただ、もともとが英語「individual」に対して「dividual」という造語(厳密には違うようだが)と説明されているように、西洋的な分析概念から始まるので、そこから読んでいくと理解が早く、日本語の直訳表現による日本文化の土壌の上では違和感を感じてしまうところがある。「分人」表現であえて分析しなくてもいいのでは?まわりくどい?と思ってしまう。
読了日:09月10日 著者:平野 啓一郎
わが米本土爆撃わが米本土爆撃感想
先の戦争で米本土空爆を実施したパイロットの日記がベースとなる。潜水艦登載偵察機単独で行うという決死の作戦は、作戦の出発点となるドゥーリトル日本爆撃とは比較にならない実害の無い反撃となってしまったが、戦後の藤田信雄氏の人生、最後に米国の爆撃地点に散骨されるところで、この作戦の真の(隠れた)意義が見えてくる。東京裁判史観の囚われから、こういう戦史の詳細をひとつひとつ掘り起こすことで解放されていかないといけないのかもしれない。
読了日:09月08日 著者:藤田 信雄
教養として知っておきたい二宮尊徳 日本的成功哲学の本質は何か (PHP新書)教養として知っておきたい二宮尊徳 日本的成功哲学の本質は何か (PHP新書)感想
最後の章になって初めて著者が元神奈川県知事だったことに気がつく。二宮金次郎については自分の小学生時代はまだどこかで聞いたり見たりしたことぐらいはあったと思うが、80年代以後の学生はほとんど知らないのではなかろうか。 それでも報徳思想は今でも引き継いでいる方々の努力は、欧米の資本主義(マネー主義)にかき消されることなく、次の時代で本当の実力を発揮するのではなかろうか。これこそ、民主主義の中軸となる思想だと思う。
読了日:09月04日 著者:松沢 成文
幕臣たちの明治維新 (講談社現代新書)幕臣たちの明治維新 (講談社現代新書)感想
2008年の出版だけど、14年たってますます江戸時代、徳川幕府の再評価が進んできているようだ。今年の大河(青天を衝け)はその方向性の現れだろうか。8月の大河はちょうど明治維新(慶喜の大政奉還、その後の一連の戊辰戦争)が描かれていただけに、本書の内容はタイムリーなものでした。
読了日:08月27日 著者:安藤 優一郎
新型コロナワクチン 本当の「真実」 (講談社現代新書)新型コロナワクチン 本当の「真実」 (講談社現代新書)感想
現状では自分としては一番安心して読める新型コロナに関する内容でした。ワクチンについても肯定的な面とまだわからない事もちゃんと説明してあり、こういう情報がなかなか伝わって来ないところからワクチン懐疑論、反対論、そして肯定論、推進論との対立を引き起こしてしまい、混沌とした状況を生み出していく。本書の内容でコロナを恐れない、「真実」を明らかにする努力が未来をひらいていく、という希望が見えてきた。
読了日:08月25日 著者:宮坂 昌之
新型コロナワクチンの闇――厚労省[劇薬に該当]審議結果報告書の意味すること[卵巣が危ない!]新型コロナワクチンの闇――厚労省[劇薬に該当]審議結果報告書の意味すること[卵巣が危ない!]感想
講演録の書き起こしのようだから、説明不足なところも多いと思うし「闇」に光を当てて全て解明できるかというと、そこは現状では難しいと感じる。PCR検査に関しては大橋先生の主張は「そもそも」ウイルスが同定されていない論なので、その後は全てが否定となってしまっている。だいたい目に見えないウィルスの遺伝子が「見つかる」ことが今回の病気とどうつながっているのか、そのあたり学者の意見の相違があり、だからといってウイルスがなくなるわけでもない。「風邪」症状がでたらどう対応するのかを考えた方がよっぽど意味ある事かと。
読了日:08月25日 著者:大橋眞
【Amazon.co.jp 限定】医師がすすめる 少食ライフ(特典:限定動画「筋トレが"がん"を予防する! ? 運動初心者が安全に始められる3つのがん予防トレーニング教本」データ配信)【Amazon.co.jp 限定】医師がすすめる 少食ライフ(特典:限定動画「筋トレが"がん"を予防する! ? 運動初心者が安全に始められる3つのがん予防トレーニング教本」データ配信)感想
新型コロナで世界が騒然としてきた昨年春ころ、Dr.IshiguroのYoutubeチャンネルを継続的に見るようになって、年末くらいから間欠的ファスティングを実践し始めて(動機は主に花粉症の改善だった)、結果的に5㎏痩せてほぼ自分の理想体重になり、身体も軽く、おなかが空いて食事を食べることができるようになった。いまから見れば当たり前だけど、気づくまでは空腹になる前に食べていた自分に気がつく。健康になる本は一杯あるけど、医師の体験に基づく実践的な内容は、自分にとっては一番の価値あるものでした。
読了日:08月20日 著者:石黒 成治
生物はなぜ死ぬのか (講談社現代新書)生物はなぜ死ぬのか (講談社現代新書)感想
DNA、RNA、遺伝子の働きを解明することは随分進んでいるんだろうけれど、「なぜ死ぬのか」という答えには近づいていない、というよりそういう問いに応えるものではないのかもしれないと思った。最後にAIに関する考察が「生物学」という範疇からは外れるかもしれないけれど、「死」と言うものの概念が明確になった気がした。自己中心に生まれ、他のために死ぬ〜なんだか納得の行く結論。
読了日:08月17日 著者:小林 武彦
運命の八月十五日 日本のいちばん長い日 〈決定版〉運命の八月十五日 日本のいちばん長い日 〈決定版〉感想
読メ再読6回(年)目。読み慣れた本だけど、この一年間、近衛内閣による日本を戦争による敗北〜共産革命への流れを追ってきただけに、たしかに国体護持に固執した陸軍のクーデターは、失敗はしたけれど、その動機や背景はここで描かれていない、もっと決定的な、戦後の日本を決定したものが見えてくる。対米従属、憲法九条、戦76年となって見えてくるもの。
読了日:08月15日 著者:半藤 一利
特攻隊員と大刀洗飛行場 四人の証言 (PHP新書)特攻隊員と大刀洗飛行場 四人の証言 (PHP新書)感想
作者名を見て、特攻に関する話題であることで衝動買い。 信長に関する著書で、当時の西欧情勢からみた日本、といった観点がとても納得できるものだった。作者の本は2冊目だと思うけど、この本はその執筆の動機や先の大戦に対する立ち位置や、書き残したいという使命感などが感じられて、貴重な記録になると思う。いたずらに美化せず、否定もせず、戦争のリアリズム、陸軍軍人と言うものの率直な実態がよく分かるものになっている。
読了日:08月11日 著者:安部 龍太郎
ラストエンペラー習近平 (文春新書 1320)ラストエンペラー習近平 (文春新書 1320)感想
タイトルはなかなか刺激的。もちろん中国に対する記述も多いけれど、大国間の関係性について、戦略的な捉え方は現実的であり、実際的。「紛争の真に最終的な解決方法は、いまなお、戦争しかないのである。」〜冷静な戦略思考は、お花畑、また観念的な国の指導者、政治家たちにはどれだけ理解できるだろうか? 歴史を学ぶことは大切。
読了日:08月09日 著者:エドワード・ルトワック
反オカルト論 (光文社新書)反オカルト論 (光文社新書)感想
STAP騒動に関する記述では「オカルト」論とはつながらない気がしたけど、フォックス姉妹が出てきて、それ以後はスピリチュアリズムに対する批判、なぜ人は「騙される」のかを考えさせてくれる内容になっている。もともと週刊誌の連載をまとめているということで読みやすい対話形式になっている。もともと批判的に書かれているだけに、「騙される」論点は「信じる」ということに対する懐疑論になってしまうのは致し方ないか。
読了日:08月05日 著者:高橋 昌一郎
不安の哲学 (祥伝社新書)不安の哲学 (祥伝社新書)感想
「不安」「恐怖」を煽るのも問題だけれど、煽られてしまうヒトの心と言うものを的確に捉えること、そして捉えるだけではなく、著者の言う「今ここ」に生きることに集中すること。「生」は無条件に「良い」ものであることを信じ、すべてを「喜んで」受け容れること。こういう毎日の積み重ねが本当の意味でのヒトの心を強くし、より多くの人のために生きる自分が確立できるのではないか。生命=信じることを積み重ねていくことが「死」をも超える自分の内面が育つのではないか。唯物論では限界がある。
読了日:07月26日 著者:岸見 一郎
情動はこうしてつくられる──脳の隠れた働きと構成主義的情動理論情動はこうしてつくられる──脳の隠れた働きと構成主義的情動理論感想
購入したのは1年と8ヶ月前。半分くらい読んだところで、枕元において、数ページずつ寝る前に読むというスタイル、しかも途切れ途切れでこんなに時間がかかった。難しいわけではなく、マイペースで読んだということかな。悲しみ、喜び、といった情動は脳のどこかに存在するのではなく、ニューロンネットワークから立ち現れてくるもので、経験や知識でもない、その瞬間のその個人にふさわしい「情動」が人の行動や未来を作り上げていく、という解釈でいいのかな? 「霊性」というものを考えるヒントに。
読了日:07月22日 著者:リサ・フェルドマン・バレット
スピリチュアルズ 「わたし」の謎スピリチュアルズ 「わたし」の謎感想
タイトルと、著者のこれまでの著書を幾つか読んでいたことから、即購入した。最新の知見、心理学などからパーソナリティを分類してみせ、それが「わたし」であり、自我の本質である、ということか。進化論に立脚した人間感は、自分のパーソナリティを分析し、それに沿った物語を創造すること、人生にそれ以外の意味はないとあり、どこか虚無的なものを感じてしまう。やはり「霊性」までも進化論や心理学で説明しようとしてしまうのは限界、無理がある、と思いました。
読了日:07月13日 著者:橘 玲
もうだまされない 新型コロナの大誤解もうだまされない 新型コロナの大誤解感想
新型コロナのお陰で、感染症の歴史について随分学ばせて貰った。この本でも最後は歴史に学べ、とでてくるけど、どんなに科学が進んだ今でも、100年前のスペイン風邪と同じ現象を見るにつけ、遺伝子レベルでウイルスを解析できても、社会、国家レベルの対応は大差ない。ワクチンが出てきても、特効薬がこれからでてきても、生命の本質、そこからくる生命感、死生観、といった生命哲学的なものがないと、最終的な解決にはならないのではないか。
読了日:07月09日 著者:西村 秀一
マスコミ偽善者列伝 建て前を言いつのる人々マスコミ偽善者列伝 建て前を言いつのる人々感想
何人か知っている政治家、マスコミに登場するコメンテーターなどを中国古典にかけて批判していくのが痛快。あまり知らない人については、最初からこの文章を読むと少しイメージが偏るかなとも思ったけれど、全体的には当然、正当な批判だと思った。途中で中断して読了にかなり時間がかかったので、情報も古くなってしまった。最後の一神教と多神教の議論は著者の立ち位置が明確にわかり、文明論になっている。
読了日:06月30日 著者:加地伸行
国民のための経済と財政の基礎知識 (扶桑社新書)国民のための経済と財政の基礎知識 (扶桑社新書)感想
経済は「経世済民」、財政の目的は国民の福祉、幸福のためであるという「タテマエ」と、自らの出世や生活、権威のために経済知識を使い、財政政策が決まる「ホンネ(無意識的ではあると思うけれど)」がくっきりと異なることを明確にしてくれる内容。いまだに日本の国の借金は1000兆円超えなんて30年近くまえから聞いてきて、だから我慢して借金を減らすことが評価されるような論理構造は、特定の官僚たちの利益にしかならないし、ましてや国力は下がってしまうという意味で、誤った考え。
読了日:06月29日 著者:髙橋 洋一
誰もが知りたいQアノンの正体 みんな大好き陰謀論II誰もが知りたいQアノンの正体 みんな大好き陰謀論II感想
陰謀論Ⅰでも議論されてきたことではあると思うけれど、今回は、特に米国大統領選を契機として広く認知されたQアノンの背景が詳しくわかる。著者の見識は時代を冷静に見つめていくのには必須の内容だと思う。ディープステートについても同じだけれど、そこになにかある一つの隠された黒幕といったものがあるのではなく、近代の大きな時代の流れを一つの流れに集約したい人間の思考がそれを作り出しているのではないかと思う。いいことか悪いことかは別にして。
読了日:06月28日 著者:内藤 陽介
近衛文麿 野望と挫折近衛文麿 野望と挫折感想
あくまでもタイトル通り、近衛文麿の生涯の叙述のなかで、その野望と挫折の人生が炙り出されてくるのだけれど、その足下、いやその立場を利用して敗戦革命を企図した風見章をはじめとした共産主義者たち、尾崎は処刑されたけれど、大部分は戦後生き残り、その思想は捨てずに日本の中で生きてきた、それは確実に今も大きな影響を及ぼしていることに驚きとともに、戦後75年を超えた今、大きな転機を迎えていることを実感する。不明なことは多いけれど、これからも明らかにされることもまだまだある。
読了日:06月20日 著者:林千勝
日米戦争を策謀したのは誰だ!  ロックフェラー、ルーズベルト、近衛文麿 そしてフーバーは──日米戦争を策謀したのは誰だ! ロックフェラー、ルーズベルト、近衛文麿 そしてフーバーは──感想
先に読んだ秋丸機関についての役割も含め、日米戦争に関わる人物たちへの評価は時代が進むとともに変化もするだろうけれど、近衛文麿、尾崎秀実はその対象となるけれど、昭和研究会、あるいはIPRに関わり、戦後も生き延びた共産主義者(あるいはグローバリスト、日本を革命により変革しようとした人)たちは見事に時代や戦争犠牲者に対する責任を取らずに生きてきた。これからも葬り去られた真実が本当にわかることはないかもしれないが、著者のような分析、研究、評価が未来を本当の意味で作り出せると考える。
読了日:06月12日 著者:林 千勝
迷走生活の方法迷走生活の方法感想
タイトルが、渡部昇一先生の「知的生活の方法」のオマージュという点が、自分の読書体験と重なって、中身は週刊誌に発表されたエッセイ集という形なので、親しくかつ、気軽に読み進めることができた。幅広い関心と話題、そして動的平衡の上に(基に?)ある生命そのものを楽しんでいる、といった感覚が伝わってくる読書体験になりました。フェルメール研究までほんとに幅広い。
読了日:06月02日 著者:福岡 伸一
日米開戦 陸軍の勝算 (祥伝社新書)日米開戦 陸軍の勝算 (祥伝社新書)感想
東京裁判史観、そしてGHQ占領に始まる戦後史観、もうとっくに米国本体が忘れ去ってしまった(いや、まだそのほうが都合のより勢力もいるけれど)のに、日本自体が自らを縛ってしまっていると思う。秋丸機関の生き残り自体が戦後歪めてしまった日本国の本質を取り戻す、それこそが、本当にアジアの中の日本が生きていく道だと思う。それを陰謀楼で片付けてきた戦後論壇、左翼勢力、保守勢力までもすべて見直す時になってきたのだと思う。
読了日:05月29日 著者:林 千勝
福岡伸一、西田哲学を読む: 生命をめぐる思索の旅 (小学館新書)福岡伸一、西田哲学を読む: 生命をめぐる思索の旅 (小学館新書)感想
ずっと読みたかった「善の研究」、これ読んでようやく読める気がしてきた。ピュシス、ロゴス、ミンコフスキー空間に於いての時間と空間の把握、動的平衡の生命観が加わって初めて、時間と空間、存在と実在の本当の把握、外からの分析ではなく、自分自身の生命の内部にある「実感」?「体感」?〜表現はまだ自分でも確定できないけど、生きてることの本当の意味を問う営みが人生そのもの?
読了日:05月22日 著者:池田 善昭,福岡 伸一
新型コロナが本当にこわくなくなる本 医学・政治・経済の見地から"コロナ騒動"を総括する新型コロナが本当にこわくなくなる本 医学・政治・経済の見地から"コロナ騒動"を総括する感想
お二人のYoutube発信はかなり見てきたので、かなり正確にこの問題については理解できていると思う。Youtube番組が明確な指針なしに削除されたとしても、こういう出版や形になるもので残しておくことで、後々の検討が有効になるので、清濁混交のコロナ関連出版物のなかでも、より多く普及されるべきものだと思う。
読了日:05月17日 著者:井上正康,松田学
食べても太らず、免疫力がつく食事法食べても太らず、免疫力がつく食事法感想
もう一年ちかく、著者のYoutubeチャンネルをずっと見てきたので、知識としては入っている内容でしたが、活字にしてこのようにまとめられていると、再確認できたり、新しい発見があったりしました。著者の実践を土台にした内容はダイエットというより、健康になる過程で適切な体重になる、ということですね。半年前から自我流ですが間欠的ファスティングで2キロ調整して、体も軽く、持続できるようになった。
読了日:05月08日 著者:石黒 成治
フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔 (講談社現代新書)フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔 (講談社現代新書)感想
「ノイマン」型コンピュータって、とても有名なのに、その人物については一般的に言ってあまり知られていない(と思う)。特に日本は「軍事」に関わる科学者を「偉人」として尊敬的に教えられることは少ない。ましてや原爆開発や戦後の軍事にも関わる研究者であること、そもそもコンピュータが軍事目的に開発されていたものであることを思えば、仕方がないかもしれない。「世界」的知性は軍事とかかわらざるを得ないし、日本はその点が構造的に欠けている。良くも悪くも。
読了日:05月05日 著者:高橋 昌一郎
公文書が明かすアメリカの巨悪――フェイクニュースにされた「陰謀論」の真実公文書が明かすアメリカの巨悪――フェイクニュースにされた「陰謀論」の真実感想
3次にわたるナヴァロ報告書に始まり、殆どが陰謀文書というイメージで詳細が知らされていない選挙不正の告発文書が前半にまとめられていて日本語で読めるのはありがたい。後半はコロナ禍を利用する民主党の政権奪取の内容を読めば読むほど、選挙不正、というかもっと大きな、陰謀論として片付けられてきた世界戦略?といったものが立ち上がってみえてきて仕方がない。日本のコロナ騒ぎも米国の戦略をなぞっているように見える。ワクチンに関する指摘に関してもっと広く知られるべきだ。
読了日:05月05日 著者:渡辺 惣樹
ルポ 婚難の時代 悩む親、母になりたい娘、夢見るシニア (光文社新書)ルポ 婚難の時代 悩む親、母になりたい娘、夢見るシニア (光文社新書)感想
32歳になって結婚、家庭を持つ女性が、卵子の老化という話で出産は20代前半が好ましい、と聞いてきた。「妊娠」「出産」について医学的にはそういう回答になるのだろうけれど、命を育む結婚、家庭のあり方は普遍性をもったものと、時代により、国により、変化していくものもある。本書は卵子凍結の選択、精子バンクを利用するシングルマザーのルポや、コロナ後の婚活の取り組みなど多岐に渡る結婚に取り組む実態が描かれていて大変興味深い。
読了日:05月01日 著者:筋野 茜,尾原 佐和子,井上 詞子
京大 おどろきのウイルス学講義 (PHP新書)京大 おどろきのウイルス学講義 (PHP新書)感想
「ゼロコロナ」と言いたい心はわかる。しかしそもそもウイルスを制圧するとか、撲滅する「敵」とみなしているところから間違いがあるということだ。脱炭素社会しかり。福岡先生の「動的平衡」でも感じたけど、生命作用に欠かせない要素である炭素、タンパク質、そしてゲノム、その存在が意味するところはすべて人間の知性で分析されてはきたけれど、「なぜ存在するのか」という意味を問う価値観を追求していかなければならないと思う。「敵」にも意味があるのだ。
読了日:04月27日 著者:宮沢 孝幸
新版 動的平衡: 生命は自由になれるのか (2) (小学館新書)新版 動的平衡: 生命は自由になれるのか (2) (小学館新書)感想
前作につづいて、どのトピックも生命とは何であるか、ゲノムに書き込まれている情報も、環境から栄養を取り込み、代謝し、タンパク質を作り出す、といった細胞の機序についても、いずれも生命と言うものの本質を考えさせてくれる記述でいっぱい。相関性と因果性の違いをつねに考えていかないと生命に関わる作用は本当にわからない。十章は西田哲学にまで踏み込んでいるが、哲学的領域まで踏み込んで考える生命観は今の時代、とても必要なことではなかろうか。
読了日:04月23日 著者:福岡 伸一
新版 動的平衡: 生命はなぜそこに宿るのか (小学館新書)新版 動的平衡: 生命はなぜそこに宿るのか (小学館新書)感想
面白かった。細胞レベルで、更にその細胞を構成する分子レベルで生命を考えると、目に見える物質の集まりが、なぜエントロピーを減少させるような方向で秩序を作り出すようになるのか、ひょっとしたら、意味のない存在に意味を見出し、価値づけているのはヒトの「意識」なのか。健全な体に健全な精神が宿る、のか、精神があるからこそ健全な体なのか、このあたりを考えながら現代科学が捉える「生命観」の一端を知ることができた、と思う。
読了日:04月12日 著者:福岡 伸一
コロナ脳: 日本人はデマに殺される (小学館新書 こ 3-3)コロナ脳: 日本人はデマに殺される (小学館新書 こ 3-3)感想
ずっとネットでコロナ情報を追い続けてきたこの1年。昨年はコロナというワードすらなんらかの制限がかかる状況だったことを思うと、もう「医療」とか「科学」の名の下に人間の醜い部分がそうとうにかいま見えてしまう。マスゴミとか、専門家バカとか、いうのは簡単だけど、批判するほうも責任を伴わない批判は単なる言葉の応酬に終ってしまったりもする。健康に対する人間自身の主体性と、他人に対する思いやりと勇気づけ~それが何になる?という声も聞こえてきそうだけど。
読了日:04月06日 著者:小林 よしのり,宮沢 孝幸
謎の九州王権 (祥伝社新書)謎の九州王権 (祥伝社新書)感想
邪馬台国についての記述から始まり、2世紀〜6世紀の主に北部九州における歴史を概観できる。魏志倭人伝に始まる邪馬台国の謎、九州説から畿内説、九州の中でも様々な説がある中での謎解き、みたいなところに関心が集中していて、ヤマト王権と関連した九州の王権、歴史を俯瞰して考えることが少なかったので、本書は大いに視野が広がった。とくに磐井の乱、そして朝鮮半島との関わりについて考えてみたくなった。
読了日:04月04日 著者:若井 敏明
世界はいつでも不安定 - 国際ニュースの正しい読み方 -世界はいつでも不安定 - 国際ニュースの正しい読み方 -感想
アメリカ、中国、中東、ロシア・トルコ。それぞれ直近の国際情勢を読み解くのに、とても有用な一冊。特に馴染みが薄い中東、そしてナゴルノ・カラバフ問題の背景が事細かく解説され、関わる国々の歴史的・宗教的背景を軸に分析してあるので、納得の行く解説になっている。著者のようなリテラシーを身につけたいと思った。
読了日:04月01日 著者:内藤 陽介
世界史から読み解く「コロナ後」の現代 (ディスカヴァー携書)世界史から読み解く「コロナ後」の現代 (ディスカヴァー携書)感想
歴史学者ではない、おそらく相当グローバルなビジネスでの経験を積んでいるであろう著者が新型コロナによるグローバルな問題意識にもとづいて、16世紀半ば〜17世紀のグローバリゼーションを読み解きながら、現代のグローバリゼーションの世界的な変遷をたどる、という形になっていて、とても新鮮な「世界史」の読み解きができた。こういうテーマで歴史を学べるなら、もっと学校の歴史は面白いものになる。だけど画一化され、左翼化した歴史教育の下では、本当に世界に出ていく人材は生まれない。歴史教育の見直しが必要だと痛感する。
読了日:03月31日 著者:佐藤 けんいち
赤ちゃんと体内時計 胎児期から始まる生活習慣病 (集英社新書)赤ちゃんと体内時計 胎児期から始まる生活習慣病 (集英社新書)感想
体内時計に概日リズムと超日リズムという二つのリズムを刻む機構が胎児期から備わり、乳児期から幼児期への睡眠リズムの変化が肉体的にも、精神的にも、そして生涯にわたって基本的な心身共の健康に大きな影響を及ぼす。しかし、固定され、絶対的な基準というものではなく、かなりの寛容性、柔軟性をともなうものであり、それは親と、家族と、そして社会との相互作用しながら生活する社会的人間を形成(すなわち自己形成)していくために、肉体を健全に保つ大切な要素なのだろう。
読了日:03月16日 著者:三池 輝久
空間は実在するか (インターナショナル新書)空間は実在するか (インターナショナル新書)感想
時間と空間を実数軸と虚数軸で表すミンコフスキー空間とは、この本で初めて知った。自分なりに相対性理論は理解してきたつもりだけど、空間を虚数軸で表して記述される世界、時空は生命によって作り出される、といった観点は人間原理なんだろうけれど、そもそも生命ってなんなのか、生命は宇宙の構造の中で必然なものなのか、時間や空間をイリュージョンで作り出してしまう生命の本質は量子論で記述できるものなのか、興味がどんどん湧いてきて、思わず著者の本をもう一冊見つけて買ってしまったところ。
読了日:03月10日 著者:橋元 淳一郎
数えないで生きる数えないで生きる感想
読書メーターで新刊本が出たら通知してほしい作家を登録できるが、岸見先生もその一人。それでも本の内容はチェックをして購入を決めるが、この本はタイトルだけ見て則購入。丁度そういう内的なタイミングに同期していたのかも知れない。眠る前に少しずつ読み進め、時には抜き書きもしながら自分を見つめる、「今ここ」の自分と作者の文章との対話のみがある、そういう読み方ができる。自分の人生を数えつつも、数えない生き方。矛盾した言葉だけど、矛盾はない。また読み返しながらしばらく手許に置いておきたい。
読了日:03月06日 著者:岸見 一郎
明治十四年の政変 (インターナショナル新書)明治十四年の政変 (インターナショナル新書)感想
国会開設に向かい、議院内閣制を進めようとした大熊重信が立憲君主制を取る伊藤博文たち薩長勢力に排除された、という形で語られる明治十四年の政変、ここに日本が近代国家として世界に向かう基礎が作られているだけに、現代から見れば重要なターニングポイントには違いない。しかし当事者たちの動きをこうして詳細に読み解いていくと、薩長のバランスだったり、経済政策が争点だったりと、その時の各自のベストの動きが大きな動きにつながっているのがわかる。明治維新だってそうなのかもしれない。
読了日:03月04日 著者:久保田 哲
みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史 史上最大のITプロジェクト「3度目の正直」みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史 史上最大のITプロジェクト「3度目の正直」感想
2002年の統合時のみずほ銀行のトラブルは、トップのシステム統合に対する認識の甘さ、責任を持つべきトップの無理解が根底にある、ということを以前、同じく日経の書籍で読んでいた。本書はその内容に一部触れているが、その反省のもと、2011年のトラブルを経験しつつも、システムを一本化した「MINORI」の開発の経緯がよくわかる内容になっている。今回2021年2月のATMトラブルは対応のまずさはあったけど、全体としては局所的なものにとどまっているように見えるところもあるように思う。
読了日:03月03日 著者:日経コンピュータ,山端 宏実,岡部 一詩,中田 敦,大和田 尚孝,谷島 宣之
時間はどこで生まれるのか (集英社新書)時間はどこで生まれるのか (集英社新書)感想
「空間は実在するか」より先にこちらを読んでおくべきだった。こちらでは、生命が「時間」を生み出す(認識する?)メカニズムが詳細に描かれている。時間を遡る、ということは、時間を作り出した「生命」の反転~美しい人間の皮膚の裏側にある内臓、血管などグロテスク(と一般には感じられる、「死」と結びついたイメージ)な、生命の領域を反転させる世界~という表現が不可能な世界観。生命→時間というものについて、本質的には「美」や「善」といったものがそこに潜んでいて、そこに「存在」を見いだす人間性、本質があるのだと思う。
読了日:03月01日 著者:橋元 淳一郎
マンガでやさしくわかるNLPマンガでやさしくわかるNLP感想
再読。自分の内面(ここでは無意識、と表現されるものか)に形成された価値観をディソシエイトして気づくこと。その作業が今の課題に向き合うことによって対処できる。今をいきているようでありながら、自分の中の価値観(何を重視していきていくのか)を再生している、というのが本当のところか。そこに「人生の意味」を見出す。
読了日:02月27日 著者:山崎 啓支
マンガでやさしくわかるNLPコミュニケーションマンガでやさしくわかるNLPコミュニケーション感想
4年ぶりの再読。NLPを一通り理解し、応用していたつもりだったけど、あらためて見直したいと思い、読み直してみた。ほとんど通勤電車の行き帰りで読みきった。無意識は体験(感覚、五感)から形成され、それがある事象に対する自分の情動(価値観?)を決める。良いも悪いもない自分に関わる出来事に関して、それに価値付けをしているのは言葉でプログラミングされた自分の無意識(情動)である。と総理解したうえで、ラポールを土台とした質問のスキルが重要、ってことかな?
読了日:02月24日 著者:山崎 啓支
熊楠と幽霊 (インターナショナル新書)熊楠と幽霊 (インターナショナル新書)感想
学生時代に、熊楠についての文章を何かで読んだ、たしか、博物学などの方面で活躍した、しかし在野で過ごした人物、程度にしか知らなかったけれど、不思議な魅力のある人物、というイメージだった。明治維新直前に生まれ、米国との戦争の年に亡くなった、ということも初めてしった。夢やテレパシーといった超常現象の記録が多いのは、イギリスの心霊学が流行った世紀末〜20世紀初頭の世界的な影響も多いのだろうけれど、水木しげるに代表される日本的な妖怪とか幽霊という存在につながるものとしては貴重な内容なのだろう。
読了日:02月23日 著者:志村 真幸
新型コロナ、本当のところどれだけ問題なのか新型コロナ、本当のところどれだけ問題なのか感想
著者のネットでの対談番組を見て、すぐに購入して2日で読み終えた。COVID-19に対するPCR検査、治療、ワクチン、検疫、医療、様々な項目について一通りまとめられ、また日本の感染症に対する問題点も的確に指摘されていると思います。厚労省の医系技官も務められていて、医療政策の問題点についてはさすがよくわかりました。これは厚労省の問題もそうだけれど、日本の政治のシステムがどこかで変わらないと行けないところにきているのだと思う。
読了日:02月22日 著者:木村 盛世
アメリカを動かす宗教ナショナリズム (ちくま新書)アメリカを動かす宗教ナショナリズム (ちくま新書)感想
米国におけるメガ・チャーチや、大統領選で大きな争点となるプロライフ政策などは、日本では一向に伝わってこない。日本の文化からみたら、これほどキリスト教原理主義的な政策が政治の争点になるということは、南北戦争や、人種問題を抱えているだけに、根底で理解できていないということになるのだろう。一読しただけではその複雑さが理解できないところもあるが、その国の影響なしにはありえない世界秩序だけに、より深い勉強が必要だと思った。
読了日:02月22日 著者:松本 佐保
アメリカン・バカデミズム 「反日」の本丸アメリカを撃て!アメリカン・バカデミズム 「反日」の本丸アメリカを撃て!感想
昨年一年間かけて米国の大統領選で露わになった対立の図式は、アメリカの南北戦争、さらには建国時に潜在的にあるものであることが分かった。マルクス主義に潜む階級闘争史観、それを利用して、自分が正しい、という思い込みにより独善的な支配を正当化しようとする対立は、「和を持って尊しとなす」、日本の伝統、文化を破壊しようとする今の風潮は非常に危険なものであるし、それを日本人自らが自覚して行動しなければならない時代になってきたのだと思う。
読了日:02月15日 著者:ジェイソン モーガン
超・起業思考―会社に縛られずに稼ぎ続ける超・起業思考―会社に縛られずに稼ぎ続ける感想
一度さらっと読んでみた。起業ノウハウというよりもタイトル通り、起業に向かう人生観、思考について著者の実績をもとに描かれているので、体系的ではないものの、そのポイントは説得力があると思う。家族のために、家族を無視してはできないということが著者の実感からわかる。普通はそもそも前提としているものであるけれど、えてして仕事、個人主義に走ってしまう現実が多いのではないだろうか。
読了日:02月13日 著者:船ヶ山 哲
世界のニュースを日本人は何も知らない2 - 未曽有の危機の大狂乱 - (ワニブックスPLUS新書)世界のニュースを日本人は何も知らない2 - 未曽有の危機の大狂乱 - (ワニブックスPLUS新書)感想
1の方も良かったけれど、今回は世界的に共通のコロナに対する特にイギリス、欧米圏の報道とその背景、日本がどのように評価されているのかを中心に話題が採り上げられているので、納得が行くところが多い。内容が正しいとか間違っているか、というより、日本という文化と、尺度で海外を見つめている日本の報道だけでは偏りがあり、知らないことも多いということがよくわかった。
読了日:02月08日 著者:谷本 真由美
経済学の堕落を撃つ 「自由」vs「正義」の経済思想史 (講談社現代新書)経済学の堕落を撃つ 「自由」vs「正義」の経済思想史 (講談社現代新書)感想
タイトル通り、経済思想史の教科書的なテキストとして読める。近代経済学は個人の生産・消費の分析から、国家、世界、はては地球環境の中の人類の生産・消費の営みについてその範囲を広げ、国家や国際関係のありかたまで「価値」の記述に取り組んできたけれど、21世紀の経済学は恐慌を引き起こす国家のあり方、価値観の異なる国家同士の衝突問題を解決は出来ていない。その問題解決を放棄しているように見える現代の経済学を「堕落」と呼んでいるのだと思う。
読了日:02月07日 著者:中山智香子
小僧の神様・城の崎にて (新潮文庫)小僧の神様・城の崎にて (新潮文庫)感想
NHKで「流行感冒」がドラマ化されると聞いて、読みたくなって購入。他の短編でも感冒の話題が出て来る。小僧の神様、城の崎にて、は学生時代には読んだことがあるんだけど中身はほとんど忘れいていた。有名だけど案外読まれていない明治〜大正時代の文豪の小説って、単にノスタルジーだけではない、今の時代でも通じる感性というか、表現の細やかさや文章の技術というものを味わうことができて、これも読書の楽しみかも。
読了日:01月30日 著者:志賀 直哉
江戸幕府の感染症対策 なぜ「都市崩壊」を免れたのか (集英社新書)江戸幕府の感染症対策 なぜ「都市崩壊」を免れたのか (集英社新書)感想
新型コロナ問題にかかわる読書の流れの中で手に取った一冊だったけど、最後の江戸末期の医学館のコレラや種痘などへの取組の記述の中で出てくる緒方洪庵や伊東玄朴、種痘所の再建に貢献した濱口義兵衛などという名前が出てくると、思わず「仁」を思い出してしまう。漫画で知ることになったが、こちらの歴史をベースにうまく描いてあるなと思った。日本は官民一体となって医療を進めてきた歴史がある。今のコロナ対策に活かせるものはきっとある。
読了日:01月25日 著者:安藤 優一郎
新型コロナ 7つの謎 最新免疫学からわかった病原体の正体 (ブルーバックス)新型コロナ 7つの謎 最新免疫学からわかった病原体の正体 (ブルーバックス)感想
ヒトの免疫機構ってほんとに複雑だし、「7つの謎」っていうタイトルにあるように、まだ解明できていないことも多々ある。抗体もいい作用する抗体、作用のないもの、悪い作用を起こす抗体があって、だからエイズウイルスに対するワクチンも有効なものがない。コロナウイルスに関しても今回のように危険なものでないから、ワクチンも開発されてこなかった。さて、今回のワクチンがどれほどのものなのか、現在進行形なので結論は出せないけど、より免疫学が進展してみんなが健康に暮らせるようになれたらいいな。
読了日:01月21日 著者:宮坂昌之
PCRは、RNAウイルスの検査に使ってはならないPCRは、RNAウイルスの検査に使ってはならない感想
PCR検査って何?すでに昨年3月くらいからスクリーニングには使えない検査であることは医師の間で常識だったと聞いていたけれど、なぜかマスコミに登場する一部の医師が声高に全数検査を叫ぶのを聞いていて、医師の間でもコンセンサス取れてないんだ、と思っていたし、変異株が、と年末から騒がれ出したことも、PCR検査がその変異に対応できていないことも明らかにせずに騒がれている。ウィルスと言うものを科学的に「見る」ことができているという大きな錯覚がここにあるのではなかろうか。今のコロナ騒ぎは果たして何を意味しているのか?
読了日:01月17日 著者:大橋 眞
ウッドロー・ウィルソン 全世界を不幸にした大悪魔 (PHP新書)ウッドロー・ウィルソン 全世界を不幸にした大悪魔 (PHP新書)感想
ウィルソンの時代って、第一次世界大戦、ロシアで共産革命が起こった時代。国際連盟を提唱したけどアメリカは参加しなかった、くらいの知識しかなかった。本書を読んで、第二次大戦後の米国が世界の覇権国であり、世界の警察としての立場から見つめると、当時の世界情勢はとんでもなく理解できない内容であることを実感した。100年前の国際情勢、もっと深く見つめていかないと、現代に生きる自分たちの立ち位置もよくわからないと思った。
読了日:01月09日 著者:倉山 満
新型コロナの科学-パンデミック、そして共生の未来へ (中公新書, 2625)新型コロナの科学-パンデミック、そして共生の未来へ (中公新書, 2625)感想
新型コロナに関してこの10ヶ月の国内、国外の大きな動きが把握できたし、わかりやすかった。また感染症に関する知識もわかりやすくまとめられ、読みやすかった。 PCR検査について、検査の拡充にブレーキをかけているのは厚生省であり、官僚制度の問題点をあげておられるが、その点に関してはPCRの検査拡充自体に関して医師の間でも議論があり、少し検査万能主義に偏り過ぎているように考える。病気を治すのは検査でもなく、医師でもない、自分の体であり、免疫(自己治癒力)だ。当たり前だけれど、共生のためには自立する自分が必要。
読了日:01月08日 著者:黒木 登志夫

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